なぜ、賢い消費者はオクトパスエナジーを選ぶのか?テクノロジーが実現する次世代の電力サービス

公開日: 2025-08-15

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はじめに:イギリスからやってきた「タコの会社」、日本の電気をどう変えるの?

日本の電気の世界に、イギリスからやってきた、ちょっとユニークで新しい会社、それがオクトパスエナジーです。ただの新しい電力会社の一つ、と思ってしまうと、この会社のとっても大事な部分を見逃してしまうかもしれません。オクトパスエナジーは、エネルギー(Energy)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた「EnTech」という新しい考え方を持つ会社で、これまでにないやり方と、お客さまを一番に思う心で、日本の電力の世界に新しい風を吹き込もうとしています 。
この記事では、いま話題のオクトパスエナジー(日本法人はTGオクトパスエナジー)について、どんな会社なのか、どうして安くて地球にやさしい電気を提供できるのか、料金プランはどんなものがあるのか、そしてみんなの評判まで、気になるポイントを一つひとつ、ていねいに、そしてやさしい言葉で解き明かしていきます。この会社の強さのヒミツが、独自のテクノロジーと、それを使った「お客さまに喜んでもらいたい」という強い想いにあることが、きっとお分かりいただけるはずです。電気の会社を賢く選ぶためのヒントとして、そしてこれからの日本のエネルギーがどうなっていくのかを考えるきっかけとして、ぜひお役立てください 。



第1章:どんな会社なの? — オクトパスエナジーの自己紹介

オクトパスエナジーのすごさを知るには、まずこの会社がどんなふうに生まれて、何を大切にしているのかを知るのが一番です。イギリスでの驚くような成長や、世界中での活躍、そして日本での特別なパートナーシップを知れば、この会社がただ電気を安く売るだけではない、もっと大きな夢を持っていることがわかります。

1.1 イギリスで急成長して、世界へ!

オクトパスエナジーは、2015年から2016年にかけてイギリスで生まれました 。その使命はとてもはっきりしていて、「IT技術を使って、地球にやさしいグリーンなエネルギーを、もっと安い値段で。そして、正直でわかりやすいサービスで、お客さまの体験を素晴らしいものに変えること」です 。この想いが、会社のすべての活動の基本になっています。
特にすごいのは、その成長のスピードです。事業を始めてからたった8〜9年で、イギリスの電力市場でシェア24%以上を獲得し、契約者数で国内No.1の電力会社にまで大きくなりました 。今では世界中で約800万以上ものご家庭に電気を届けており、そのやり方と技術がいかにパワフルで、世界に通用するものかがわかりますね 。現在は、イギリス、日本、ドイツ、アメリカ、オーストラリアなど9つの国で活躍していて、その歩みはまだまだ止まりません 。

1.2 日本のオクトパスエナジーはどうやってできたの?

日本でオクトパスエナジーは、「TGオクトパスエナジー株式会社」という名前で活動しています。これは、2021年1月に、日本の大きなガス会社である「東京ガス」と一緒に作った会社だからです 。一般のご家庭への電気の販売は、その年の11月から始まりました 。
この「東京ガス」との協力関係は、ただお金を出し合っただけではありません。とても深い意味があるんです。二つの会社が出会ったのは、コロナ禍が始まる前の2019年12月。「地球にやさしいエネルギーを広めたい」という同じ夢を持っていたことが、協力のきっかけでした 。東京ガスは、もともと日本で最大級の電力販売会社の一つ。その信頼と基盤に、オクトパスエナジーが持つ世界レベルの技術と、新しいことに挑戦する文化を組み合わせることで、もっと成長できると考えたのです 。
この協力は、オクトパスエナジーにとっても、とても重要でした。日本の電力市場はルールが複雑ですが、「東京ガス」という強い味方がいることで、安心して事業を始めることができました。特に、2021年の秋から始まった電力不足の危機では、多くの新しい電力会社が事業をやめたり、倒産したりする中で、TGオクトパスエナジーが事業を続けられたのは、東京ガスから安定して電気を供給してもらえる仕組みと、両方の親会社からのしっかりとした資金的なサポートがあったからなんです 。これは、お互いの得意なことを活かし、苦手なことを補い合う、まさに「最強のタッグ」と言えるでしょう。オクトパスは日本市場でのリスクを大きく減らすことができ、東京ガスは自社のサービスをより良くするための最先端の技術とアイデアを手に入れました。実際に、東京ガスは2023年10月から、オクトパスエナジーの心臓部ともいえるシステム「Kraken」を自社のお客さま向けに使い始めており、この協力関係が一方的なものではないことを示しています 。
驚くことに、この何十億円にもなる大きな協力の話は、パンデミックの真っ最中に、社長から担当者まで一度も直接会うことなく、すべてオンラインの話し合いだけで決まったのです。これは、「日本のエネルギーのあり方を変えたい」という、両社の強い想いの表れですね 。

1.3 大切にしている想いと会社の雰囲気

オクトパスエナジーが一番大切にしている想いは「Make Energy Better(エネルギーをもっと良くする)」です 。目指しているのは、地球にやさしい再生可能エネルギーを、誰もが当たり前に、そして簡単に選べるようにすること 。世界中のオクトパスエナジーのトップであるグレッグ・ジャクソンさんの「地球にやさしい電気を選ぶことが、家計の負担になったり、面倒だったりしたら、全然クールじゃないよね」という言葉が、その考えをよく表しています 。
この想いを実現するために、会社の中では「自由と責任」というユニークな文化を大切にしています。厳しいルールで社員をしばるのではなく、一人ひとりを信じて、たくさんのことを任せるスタイルです。これにより、変化の多い世の中にもすぐに対応でき、新しいサービスをどんどん生み出せる、しなやかなチームが作られています 。この雰囲気は、昔ながらの日本の電力会社とはまったく違う、大きな魅力の一つです。日本法人でも、2024年9月時点で90人以上の社員が、お客さま対応や営業、マーケティング、技術開発などの分野でこの文化を実践しています 。

1.4 どんな会社が応援しているの?

オクトパスエナジーグループの成長は、力強い応援団によって支えられています。どんな会社が応援しているかを見ると、この会社の信頼性がよくわかります。

これらの応援団のリストは、ただお金を出している会社が並んでいるわけではありません。特に、ジェネレーションやCPPIBのように、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)を大切にする長期的な視点を持った投資家が名前を連ねていることは、オクトパスエナジーの「グリーンなエネルギー」という主張に、とても強い信頼性を与える戦略的な宝物になっています。見せかけだけの環境配慮(グリーンウォッシュ)が問題になる今の時代に、世界的に評価の高い投資家からの「お墨付き」は、環境を大切にしたいと考えるお客さまにとって、何よりの安心材料になるのです。日本法人であるTGオクトパスエナジーの資本金は7億円です 。



第2章:技術力のヒミツ — すごいコンピューターシステム「Kraken(クラーケン)」

オクトパスエナジーの強さを支える心臓部、それが自社で開発した特別なテクノロジープラットフォーム「Kraken(クラーケン)」です。これはただの顧客管理システムではありません。会社のビジネスのやり方そのものを決め、安い電気料金と最高の顧客サービスを両立させるための「秘密兵器」なのです。

2.1 Krakenのすごい機能

Krakenは、電気を販売するのに必要なすべての仕事を、たった一つのシステムで終わらせられるように作られています 。昔ながらの電力会社が、お客さまの管理、料金の計算、請求書の作成、お問い合わせの対応といった仕事ごとに、いくつもの違うシステムを複雑につなぎ合わせて使っているのとは、まったく違います。Krakenは、これらの機能をすべてクラウド上のたった一つのシステムにまとめています。そして、データ分析やAI(人工知能)といった最新技術をたくさん使っているんです 。
この「全部入り」の仕組みがもたらす一番のメリットは、圧倒的な「すばやさ」と「柔軟性」です。世の中の動きやお客さまの新しい要望に合わせて、何百通りもの柔軟な料金プランや新しいサービスを、ものすごく速く作って提供することができるのです 。これは、大きくて動きの遅い古いシステムを抱えている今までの電力会社には、とても真似できないことです。

2.2 コストを下げて、料金を安くする力

Krakenがもたらす仕事の自動化と一元化は、電気を販売するための運営コストを劇的に下げます 。人件費やシステムの維持費など、いろいろなコストが小さくなります。そして、この効率化で生まれたコスト削減分は、そのまま電気料金の値下げにつながります。
「地球にやさしい電気は高い」というこれまでの常識をくつがえし、オクトパスエナジーが実質的に再生可能エネルギー100%のプランを、他社と競争できる安い価格で提供できる理由は、まさにこのKrakenにあるのです 。実際に、いくつかの料金比較サイトでも、オクトパスエナジーの環境にやさしいプランが、他の多くの会社のプランよりも安いことが示されており、テクノロジーが生んだメリットがお客さまに直接届いていることがわかります 。

2.3 未来の電気の使い方を見すえた技術

オクトパスエナジーの技術的な夢は、今の電気販売を効率的にするだけにとどまりません。会社は、再生可能エネルギーが主役になる未来の電力システム(グリッド)を見すえて、もっと進んだ技術を開発しています。

これらの技術は、オクトパスエナジーが単なる「電気の販売店」ではなく、未来のエネルギーシステムを動かすための「OS(オペレーティングシステム)」のような役割を担おうとしていることを示しています。他の会社が電気を1キロワット時(kWh)いくらで売るかという競争をしている中で、オクトパスエナジーは、エネルギーが「いつ」「どのように」使われるかを管理し、最適化するソフトウェアの部分に力を入れています。Krakenがお客さまを管理し、KrakenFlexがお客さまの持つEVや蓄電池を管理し、Intelligent Octopusがそれらを市場の状況と結びつけます。この統合された技術は、再生可能エネルギーの最大の課題である「発電量が不安定なこと」を解決するために作られています。これにより、同社はたくさんの家庭のエネルギー機器を束ねて、一つの大きな発電所のように動かす「仮想発電所(VPP)」を作り、将来的には電気を売るだけでなく、電力システムの安定化サービスを売るという、新しい巨大なビジネスを生み出す可能性があります。
この技術のすごさを最もよく表しているのが、パートナーであり親会社でもある東京ガスがKrakenを導入したことです 。巨大な既存システムを持つ大手の会社が、自分たちのパートナーのシステムを導入するという決断は、Krakenが既存のシステムよりもはるかに効率的で、柔軟で、低コストであることを自ら認めたのと同じです。この出来事は、日本の電力業界全体に対する強烈なメッセージとなり、他の大手電力会社にも同じような技術革新を迫る「事件」と言えるでしょう。これは、オクトパスエナジーグループにとって、一般家庭向けの電力販売事業に加えて、企業向けのソフトウェア販売事業という、もう一つの強力なビジネスの柱が日本で生まれる可能性を示しています。



第3章:料金プランを徹底チェック!あなたに合うのはどれ?

オクトパスエナジーの料金プランは色々な種類があり、みなさんの暮らしのスタイルや大切にしていることに合わせて細かく作られています。でも、その料金の仕組み、特に「燃料費調整額」というものを理解することが、賢いプラン選びのカギになります。この章では、それぞれのプランの中身から、大手電力会社との料金の比較まで、じっくりと見ていきましょう。

3.1 主な料金プランを詳しく解説

オクトパスエナジーは、沖縄をのぞく全国でサービスを提供しており 、主に次のようなプランがあります。

3.2 料金のキモ —「燃料費調整額」の注意点とお得な点

オクトパスエナジーを含む新しい電力会社の料金を比べるとき、一番大切で、そして誤解されやすいのが「燃料費調整額」です。
大手電力会社の昔ながらの料金プラン(従量電灯など)では、この調整額に上限が決められていることがあります。しかし、オクトパスエナジーを含むほとんどの新しい電力会社の自由料金プランでは、この上限がありません
これが何を意味するかというと、電気を作るための燃料(LNGや石炭など)の値段が世界的にとても高くなった場合、オクトパスエナジーの燃料費調整額は、上限のある大手電力会社よりもずっと高くなってしまう可能性があるということです。これが、一部の人が「切り替えたら逆に電気代が高くなった」と感じる一番の理由です 。
一方で、この不安な気持ちを逆手にとったのが、先ほど紹介した「シンプルオクトパス」です。燃料費調整額を0円に固定することで、お客さまに価格変動のリスクからの一時的な「避難場所」を提供し、新しいお客さまを獲得することにつなげています 。このプランは、ずっと続けられるビジネスというよりは、お客さまを自社のサービスの世界に引き込むための、とても戦略的な「入門プラン」と見ることができます。価格変動のリスクという一番の壁を取り除くことで契約のハードルを下げ、12ヶ月後にはより利益の出やすい標準プランへ移行させる。一度、その便利なサービスを体験したお客さまは、また電力会社を切り替えるのが面倒に感じる(スイッチングコスト)ことを見越した、巧みな心理作戦なのです。
なお、燃料費調整額が高くなるリスクがある「グリーンオクトパス」プランでも、もともとの基本料金と電力量料金が低く設定されているため、多くの場合、燃料費調整額を含めた合計金額では大手電力会社より安くなることが多いことも、シミュレーションで示されています 。

3.3 お住まいのエリアと家族構成で料金を比較

どの料金プランがお得かは、住んでいる場所と電気をどれくらい使うかによって大きく変わります。ここでは、具体的なデータをもとに、詳しく比較してみましょう。

表1:主な料金プランの全国エリア別料金表(グリーンオクトパス)

まず、主力プランである「グリーンオクトパス」の基本的な料金をエリアごとに見てみましょう。これで、それぞれのエリアでの基本的な価格がわかります。

電力エリア 契約アンペア 基本料金 (円/月, 税込) 電力量料金 (円/kWh, 税込)
北海道電力 30A 1,122.00 ~120kWh: 23.57
121~280kWh: 28.81
281kWh~: 31.21
東北電力 30A 1,107.00 ~120kWh: 18.59
121~300kWh: 24.64
301kWh~: 27.44
東京電力 30A 885.00 ~120kWh: 20.62
121~300kWh: 25.29
301kWh~: 27.44
中部電力 30A 891.00 ~120kWh: 21.05
121~300kWh: 24.90
301kWh~: 26.70
北陸電力 30A 906.00 ~120kWh: 17.96
121~300kWh: 21.19
301kWh~: 21.94
九州電力 30A 948.00 ~120kWh: 17.98
121~300kWh: 22.98
301kWh~: 24.68
区分 最低料金 (円/月, 税込) 電力量料金 (円/kWh, 税込)
関西電力 ~15kWh 377.00 16~120kWh: 20.21<br>121~300kWh: 23.81<br>301kWh~: 26.61
中国電力 ~15kWh 531.00 16~120kWh: 21.21<br>121~300kWh: 27.09<br>301kWh~: 28.08
四国電力 ~11kWh 560.00 12~120kWh: 20.73<br>121~300kWh: 26.22<br>301kWh~: 28.22

出典: 。料金は消費税10%込み。基本料金は代表例として30A、関西・中国・四国電力は最低料金制。

表2:東京電力エリアでの料金シミュレーション比較

次に、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を含めた「実際に支払う合計金額」で、大手電力会社(東京電力エナジーパートナー)と比べてみましょう。これで、実際のお財布への影響がより正確にわかります。

世帯人数 契約<br>(アンペア) 月間使用量<br>(kWh) 東京電力EP<br>「スタンダードS」<br>(円/月) オクトパスエナジー<br>「グリーンオクトパス」<br>(円/月) 差額<br>(円/月) 年間節約額<br>(円)
一人暮らし 30A 160 5,093 4,960 -133 1,596
二人暮らし 40A 280 9,052 8,768 -284 3,408
3人世帯 40A 330 10,688 10,335 -353 4,236
4人世帯 50A 420 14,067 13,554 -513 6,156

出典: 。シミュレーションは2025年8月分の燃料費調整額および再エネ賦課金単価に基づく。実際の料金は毎月の使用量や燃料費調整額の変動により異なる。
このシミュレーションが示すように、東京電力エリアでは、燃料費調整額の違いを考えても、どんなご家庭でもオクトパスエナジーの方が年間を通して安くなる可能性が高いです。ただし、この差額は燃料の値段の動きによって変わるので、時々チェックすることをおすすめします。他のエリアにお住まいの方も、同じように比較してみると良いでしょう 。



第4章:地球への想いは本物? — 再生可能エネルギーへの取り組み

オクトパスエナジーは、ただ「地球にやさしい電気です」と言うだけでなく、それを実現するために色々な方法で本気で取り組んでいます。どんな電気から作られているかを正直に公開することから、再生可能エネルギーを作る発電所へ直接投資すること、さらには世界的な視点で大きな投資をすることまで、その取り組みは多岐にわたります。

4.1 どんな電気から作られているの?(電源構成の透明性)

オクトパスエナジーは、自分たちが供給する電気がどんなエネルギー源から作られているかを、ウェブサイトできちんと公開しています。これは、お客さまに正直でありたいという姿勢の表れです。実質的に再生可能エネルギー100%のプランを除いた、2022年度の標準的な電気の元をたどると、LNG(液化天然ガス)を使った火力発電が76.61%と大部分を占め、次に日本卸電力取引所(JEPX)という市場から買ってきた電気が17.16%となっています 。
一方で、「グリーンオクトパス」や「シンプルオクトパス」といった主なプランでは、「実質再生可能エネルギー100%」を実現しています。これは、お客さまが使った電気の量と同じだけの「非化石証書」という、環境にやさしい電気を作った証明書のようなものを買うことで達成しています 。物理的に、おうちに届く電気が特定の発電所から来るわけではありませんが、この証明書の仕組みを通じて、再生可能エネルギーの発電を応援し、電気を使うことで出るCO2の量を実質的にゼロにするという考え方です 。なお、オクトパスエナジーの電気には、原子力発電は含まれていません 。

4.2 再生可能エネルギーの発電所に直接投資

「非化石証書」を買うことは、再生可能エネルギーを広めるための間接的な応援です。オクトパスエナジーはこのことをよく理解していて、もっと直接的で影響の大きい貢献を目指し、再生可能エネルギーを作る発電所そのものに投資する方向へと進んでいます。これは、単に電気を仕入れて売る会社から、発電も自分たちで行う、本物のグリーンエネルギー企業へと進化しようとしていることを意味します。
この戦略を象徴するのが、太陽光発電所の開発やメンテナンスを行うHSK社との資本業務提携です。オクトパスエナジーはHSK社の株の49%を持つことで、自社グループの仲間として、太陽光発電所を自分たちでどんどん作れるようにしています 。これにより、証明書市場の価格の変動に左右されない、安くて安定したグリーンな電気を自分たちで確保しようとしているのです。
さらに、お客さまへの新しい提案として「ソーラー初期ゼロプラン」も始めています 。これは、オクトパスエナジーがお客さまのおうちの屋根に、初期費用0円で太陽光パネルを設置し、お客さまはそこで発電された電気を24円/kWhといった特別な安い価格で買えるという、画期的なサービスです 。太陽光発電を始めるのに一番の壁だった高額な初期費用をなくすことで、家庭レベルでの再生可能エネルギーの普及を力強く後押しします。
これらの動きは、同社が「埋め合わせる(オフセット)」ことから「自分たちで持つ(オウン)」ことへと、戦略の軸足を移していることをはっきりと示しています。発電所を自分たちで持って管理することは、コストを安定させ、供給を確保し、「見せかけだけの環境配慮(グリーンウォッシュ)」という批判を避ける強いブランドイメージの構築につながり、長い目で見れば非常に大きな強みとなるでしょう。
その他にも、群馬県で地域で作った電気を地域で使うPPA(電力販売契約)を結ぶなど、特定の地域やお客さまと直接つながった再生可能エネルギーの供給にも積極的に取り組んでいます 。

4.3 世界的な視点での再生可能エネルギー投資

オクトパスエナジーの再生可能エネルギーへの強い想いは、日本国内だけにとどまりません。親会社であるオクトパスエナジーグループは、アジア地域の再生可能エネルギーとエネルギー技術の分野に対して、15億ポンド(日本円で約2,800億円)という、とてつもなく大きな金額の投資を決定しました 。
このうち3億ポンドは、日本の技術革新の中心である東京オフィスの拡大に使われます。これにより、2027年までに日本で働く人の数を10倍に増やし、イギリスと日本で合計1,000人規模のグリーンエネルギー関連の雇用を生み出す計画です 。また、韓国での大規模な太陽光発電所の新設プロジェクトなど、アジア全体で再生可能エネルギーの展開を加速させており、日本の取り組みが世界的な戦略の重要な一部であることがわかります 。



第5章:お客さまとのつながり — 評判、サポート、楽しいキャンペーン

オクトパスエナジーのビジネスは、テクノロジーや価格の安さだけでなく、お客さまとの新しい関係づくりによっても支えられています。世の中からの評価は良い点もあれば気になる点もありますが、ユニークな関わり方によって、これまでの電力会社にはなかった「ファン」と呼べるようなコミュニティを作り始めています。

5.1 みんなの評判は? — 口コミの「良いところ」と「気になるところ」

オクトパスエナジーに対するお客さまの評価は、全体的にとても高いです。ある調査では、契約している人の97%がサービスに「満足」と答え、「不満」と答えた人はいませんでした 。同社が行ったアンケートでも、回答者の75.4%が5段階評価で4以上の高い評価をしています 。しかし、その中身をよく見ると、評価されている点と、これからもっと頑張ってほしい点がはっきりと見えてきます。
【良い評判・うれしい点】

【悪い評判・気になるところ】

これらの口コミをまとめると、以下の表のようになります。

表3:お客さまの声から見るメリット・デメリット

評価項目 良い評判・うれしい点 悪い評判・気になるところ
料金 ・大手電力会社より安くなったという声が多数(月に1,000〜2,000円安くなった例も
・キャンペーンや割引が多く、実質的な負担が減る
・燃料費調整額が0円のプランがあり、価格の変動を心配しなくてすむ
・燃料費調整額に上限がなく、燃料の値段が上がった時に高くなることがある
・住んでいる場所や電気の使い方によっては、乗り換えても安くならない、あるいは高くなるケースも報告されている
お客さまサポート ・電話、メール、LINEなどでの対応が速くていねいで、とても評価が高い
・マニュアル通りではない、フレンドリーなやりとりが好感を持たれている
・(サポート自体への不満は少ないが)一部の訪問販売員の営業方法に不快感を示す声がある
ウェブサイト/アプリ ・申し込みがインターネットで全部できて、簡単でスムーズ
・マイページやアプリで電気の使用量を詳しく確認でき、節電意識が高まる
・サイトのデザインが個性的で、日本の一般的な会社のサイトと違うため「見にくい」「怪しい」と感じる人がいる
・キャンペーン情報などが分かりにくい場合があるとの指摘も
ブランド/信頼性 ・東京ガスと一緒の会社であり、世界での実績もあるため信頼できる
・環境に配慮した会社の姿勢が支持されている
・日本での知名度がまだ低く、ユニークな名前やキャラクターから「怪しい」という第一印象を持たれがち
提供サービス ・暮らしに合わせた色々な料金プラン(オール電化、EV、太陽光など)がある
・解約金が一切なく、気軽に試せる
・ポイントが貯まるサービスがない
・ガスやインターネットとのセット割引プランがない

5.2 お客さまをファンに変えるユニークな取り組み

オクトパスエナジーは、ただ料金が安いだけでなく、お客さまと積極的に関わることで、より強い信頼関係を築く戦略をとっています。

これらの取り組みは、お客さまを単なる契約者ではなく、親しみを込めて「タコ友」と呼ぶ、この会社の考え方を形にしたものです 。金銭的なメリットとゲームのような楽しさを組み合わせることで、価格だけで評価される受け身の関係から、楽しさや貢献する喜びを感じる、能動的で心と心のつながりがある関係へと変えているのです。これが、競争の激しい市場でお客さまを維持し、解約する人を少なくするための強力な武器となっています。

5.3 サポート体制と契約の流れ

契約から利用開始までの流れは、デジタル中心で、とてもシンプルになっています。



第6章:まとめとこれからの展望

これまでの分析をもとに、オクトパスエナジーの総合的な評価と、これからの戦略についてまとめます。この会社は、日本の電力市場で、ただ価格を安くするだけでなく、テクノロジーを土台にして、電力の世界の仕組みそのものを変える役割を担おうとしています。

6.1 総合評価(良いところ・気になるところ)

オクトパスエナジーの現状を、強み(良いところ)、弱み(気になるところ)、機会(チャンス)、脅威(ピンチ)の4つの視点から見てみましょう。

6.2 みなさんへのアドバイス

オクトパスエナジーへの切り替えを考えている方は、ご自身の暮らしのスタイルや大切にしていることと照らし合わせて判断することが大切です。

【おすすめのアクション】 切り替えを検討する際は、必ずここ数ヶ月の電気の検針票を用意して、毎月の正確な電気使用量(kWh)を把握した上で、公式サイトのシミュレーションを行ってみてください。特に「グリーンオクトパス」を検討する場合は、大手電力会社との燃料費調整額の差を意識して、合計金額で比べることが重要です。最もリスクが低く、かつお得に始める方法は、SNSなどで「友達紹介割」のURLを見つけて、それを使って契約することかもしれません。

6.3 未来の予測

オクトパスエナジーは、日本のエネルギー市場で、その役割をこれから変えていくでしょう。
「エネルギーのOS」へ: 今の電力販売事業は、この会社にとっての第一段階にすぎません。Krakenプラットフォームと、それを中心としたエネルギー機器の管理技術(KrakenFlex)、AIによる最適化(Intelligent Octopus)、そして再生可能エネルギー発電所への直接投資。これらを組み合わせることで、同社は未来の分散型エネルギー社会を動かす「OS(基本ソフト)」のような存在になることを目指しています。その成功は、日本の大手電力会社に、デジタル化を加速させることを強く迫ることになるでしょう。
電気を売る会社から、電力システムを最適化する会社へ: 次の成長段階は、仮想発電所(VPP)などを活用して電力システム全体の安定に貢献し、その対価を得る、企業向け(B2B)や電力システム向け(B2G)の事業に本格的に参入することになる可能性が高いです。これは、電気の需要と供給を調整する能力そのものを商品とする、より高度なビジネスモデルです。
これからの課題: 最大の課題は、急成長する中で、創業以来の強みである「お客さま第一」の企業文化をどうやって維持し、広げていくか、そして、燃料費調整額という価格の変動要因をいかにコントロールし、お客さまの信頼を保ち続けていくかにあります。時間帯別料金プランをさらに進化させたり、スマートホーム機器との連携を深めたりするなど、テクノロジーを駆使した継続的な挑戦が、日本市場で長く成功するためのカギを握っています。オクトパスエナジーの挑戦は、まだ始まったばかりです。