日本通信SIMって結局どうなの?一言でまとめると
数ある格安SIMの中でも、特に料金の安さで注目を集める「日本通信SIM」。本当に契約するメリットがあるのか、プロの視点からハッキリと解説します。
結論から言うと、日本通信SIMは「ある特定の使い方をする人にとっては、これ以上ないほど最高の選択肢。しかし、それ以外の人には全くおすすめできない」という、メリットとデメリットが極端に分かれるサービスです。
日本通信SIMがピッタリなのは、こんな人です!
「スマホの料金をとにかく安くしたい合理的な人」。特に、普段は家や職場のWi-Fiをメインで使い、外出先ではあまりネットを使わない人。そして、LINE通話ではなく、普通の電話(090番号など)のクリアな音質を重視する人です。また、困ったことがあっても、自分でネットで調べて解決できる人に向いています。
日本通信SIMはやめたほうがいいのは、こんな人です!
逆に、「お昼休みなど、時間帯を気にせずいつでも快適にネットを使いたい」という人。また、スマホの操作や設定に不安があり、お店で直接スタッフに相談したい人には、日本通信SIMはおすすめできません。
日本通信SIMを選ぶかどうかは、「圧倒的な安さのために、お昼のネットの遅さを許せるか?」という、たった一つの質問にあなたがどう答えるかで決まります。この記事では、なぜこのような結論になるのかを、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。
1. 日本通信SIMの料金プランを分かりやすく解説
日本通信SIMのプランは、どれも「合理的」という名前がついており、無駄を徹底的に省いた設計になっています。
① とにかく安く持ちたい人のための「合理的シンプル290プラン」
このプランは、日本通信SIMの考え方を最も象徴するプランです。月額290円で1GBのネット通信が使えるという、業界でもトップクラスの安さを誇ります。
このプランのすごいところは、1GBを超えても自動的に高いプランに切り替わるのではなく、使った分だけ1GBあたり220円で追加される仕組みになっていることです。
さらに、「今月は〇GBまでしか使わない」という上限を自分で設定できる機能があります。もし上限に達しても、ネットが完全に使えなくなるわけではなく、通信速度が遅くなるだけ。知らないうちに料金が高額になる心配が一切ありません。
これは、例えば月に12GBしか使わないのに20GBプランの料金を払う、といった無駄をなくし、「本当に使った分だけ払う」という考え方を徹底した、非常に賢い仕組みです。
どんな人におすすめ?
普段はWi-Fi環境にいて、外出先ではLINEの返信や地図の確認くらいしかしない人に最適です。また、メインのスマホが故障した時などのための「お守り」として、2枚目のSIMを持っておきたい人にもピッタリです。
② 平均的な使い方の人にピッタリな「合理的みんなのプラン」
「合理的みんなのプラン」は、月額1,390円で20GBのデータが使える、価格と内容のバランスが非常に良いプランです。
このプランの魅力は、無料通話が最初からセットになっている点です。「1回5分以内の電話がかけ放題」か「毎月合計70分までの通話が無料」のどちらかを選べます。データ通信だけでなく、普通の電話もよく使う人にとって、とてもお得な内容です。
どんな人におすすめ?
SNSや音楽、動画などを日常的に楽しみ、月に10GB~20GBくらいのデータを使う、ごく一般的なスマホユーザーに最適なプランです。
③ ネットをたくさん使う人のための「合理的50GBプラン」
「合理的50GBプラン」は、月額2,178円で50GBもの大容量データが使える、ネットヘビーユーザー向けのプランです。
こちらも「みんなのプラン」と同じく、「5分かけ放題」か「70分無料通話」がセットになっています。
どんな人におすすめ?
高画質の動画を長時間見たり、オンラインゲームをしたり、パソコンをスマホにつないで(テザリング)使ったりする人に最適です。家に固定回線を引かずに、スマホ一台で全部まかないたい、という人にもおすすめです。
④ ネット専用で使いたい人のための「ネットだけプラン」
「ネットだけプラン」は、その名の通りデータ通信専用の少し変わったプランです。月額1,200円で20GB使えますが、面白いのは、その月に1GBも使わなかった場合、料金が自動的に119円になる点です。
ただし、このプランは電話番号での通話ができません。LINE電話などは使えます。
どんな人におすすめ?
タブレットや、持ち運び用のWi-Fiルーターに入れるSIMとして最適です。また、スマホにSIMを2枚入れられる場合、電話は別のSIM、ネットはこのSIM、という使い分けも賢い方法です。
プラン名 | 月額料金(税込) | 基本データ量 | 無料通話 | データを使いすぎたら | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|---|---|
合理的シンプル290プラン | 290円 | 1GB | なし | 1GBごとに220円追加 | ほとんどWi-Fiで過ごす人、予備のSIMが欲しい人 |
合理的みんなのプラン | 1,390円 | 20GB | 5分かけ放題 or 70分無料 | 1GBごとに220円追加 | 一般的な使い方の人 |
合理的50GBプラン | 2,178円 | 50GB | 5分かけ放題 or 70分無料 | 1GBごとに220円追加 | 動画やテザリングをたくさん使う人 |
ネットだけプラン | 1,200円(1GB以下なら119円) | 20GB | なし(通話不可) | 1GBごとに220円追加 | タブレットやデータ専用で使いたい人 |
2. 電話とネットの品質は?良い点と悪い点がハッキリ
日本通信SIMを評価するとき、電話の品質とネットの品質は、分けて考える必要があります。なぜなら、片方はとても良く、もう片方は時間帯によって大きく変わるからです。
電話の品質:大手キャリアと同じクリアな音声
日本通信SIMが多くの人から高く評価されている一番の理由が、電話の音質の良さです。
これは、LINE電話のようにインターネット回線を使うのではなく、ドコモと同じ「VoLTE」という高音質な通話技術を使っているからです。そのため、声が途切れたり遅れたりすることが少なく、非常にクリアで安定した通話ができます。多くの口コミで「通話品質はドコモと変わらない」と絶賛されています。
格安SIMの中には、専用のアプリからかけないと安くならないものもありますが、日本通信SIMはスマホにもともと入っている電話アプリからそのままかけるだけで、この高品質な通話が利用できます。
ネットの通信速度:お昼休みの「速度低下」が最大の弱点
一方で、日本通信SIMの評価を大きく左右するのが、ネットの通信速度です。特に、平日の昼休み(12時~13時)に、通信速度がガクッと遅くなるという点が、多くの利用者から指摘されています 。
実際の測定データを見ても、朝や夜は快適な速度が出ているのに、お昼の時間帯だけは速度が大きく落ち込む傾向があります。この時間帯に高画質の動画を見たり、画像がたくさんあるサイトを開いたりすると、イライラしてしまうかもしれません。
これは、日本通信SIMのような格安SIM会社が、ドコモなどの大手から通信の「道路」を借りてサービスを提供しているためです。お昼休みのように、みんなが一斉にネットを使い始めると、この「道路」が渋滞してしまい、一人ひとりの速度が遅くなってしまうのです。
日本通信SIMは、「電話の品質」という大事な部分を守るために資源を集中させ、その代わりに「お昼のネットの快適さ」はある程度あきらめる、という戦略をとっていると考えられます。この点を理解し、自分の使い方で許せるかどうかを考えることが、契約する上で最も重要です。
3. 最初に知っておきたいお金の話(手数料など)
月々の料金以外に、契約するときや、もしもの時にかかるお金について、すべてお伝えします。
契約するときにかかるお金
日本通信SIMを新しく契約するときは、初期手数料として3,300円(税込)がかかります。
しかし、この初期費用を安くする方法があります。それが「スターターパック」です 。Amazonなどのネット通販や家電量販店で3,000円前後で売られており、これを事前に買っておけば、契約時の3,300円が無料になります。結果的に、数百円お得に契約できるので、急いでいなければこの方法がおすすめです。
SIMカードに関するお金
- SIMカードをなくしたり、壊したりしたとき:新しい物理SIMカードを発行してもらうのに3,300円(税込)かかります。
- eSIMを再発行するとき:eSIM(スマホ本体に情報を書き込むタイプ)の場合、機種変更などで再発行が必要になりますが、なんと1年間に3回までは無料です。4回目から1,100円(税込)かかります。頻繁にスマホを買い替える人には嬉しいポイントです。
辞めるときや、他の会社に移るとき
日本通信SIMの大きな魅力の一つが、契約の縛りが全くないことです。
- いつ辞めても解約金は0円:いわゆる「2年縛り」のようなものは一切なく、いつでも無料で解約できます。
- 他の会社への乗り換え手数料も0円:電話番号そのままで他の会社に移る(MNP)ときの手数料もかかりません。
「始めやすく、辞めやすい」。これは、サービス内容に自信があるからこそできる、利用者にとって非常に公平なルールです。
手数料の項目 | 料金(税込) | 備考 |
---|---|---|
契約事務手数料 | 3,300円 | スターターパックを使えば実質もっと安くできる |
物理SIMカードの再発行 | 3,300円 | なくしたり、壊したりしたとき |
eSIMの再発行 | 年3回まで無料(4回目から1,100円) | 機種変更のときなど |
他の会社への乗り換え | 0円 | |
解約金 | 0円 | いつでも無料 |
4. キャンペーンはやらないの?
多くの携帯会社が「今なら〇〇円引き!」といった派手なキャンペーンを行っていますが、日本通信SIMでは、そういった期間限定の大きな割引キャンペーンはほとんどありません。
これは、日本通信SIMが「キャンペーンで一時的に安くするのではなく、いつでも誰にでも公平な低価格を提供する」という考え方を持っているからです。
過去には、料金はそのままなのにデータ量を2倍に増やすといった、既存のお客さんにも嬉しい「神改定」を行ったことがあります。これは、目先のお得感で人を集めるのではなく、長く使ってくれるお客さんとの信頼関係を大切にしている証拠です。
派手なキャンペーンがないことは、一見するとデメリットに思えるかもしれません。しかし、それは「いつ契約しても損をしない」という安心感につながっており、複雑な割引条件に疲れた人にとっては、むしろ大きなメリットと言えるでしょう。
5. 実際に使っている人のリアルな声(口コミ・評判)
良い口コミで多い意見
- とにかく安い!:「通信費が劇的に安くなった」という声が圧倒的に多いです。特に、普段あまりネットを使わない人からの満足度は非常に高いです。
- 料金が分かりやすい:「使った分だけ払う仕組みが気に入っている」など、シンプルで透明性の高い料金体系が支持されています。
- 電話の音質が良い:「格安SIMなのに、大手キャリアと変わらないくらいクリアに聞こえる」という、通話品質を褒める声も多く見られます。
悪い口コミで多い意見
- お昼のネットが遅い:これが最大の不満点です。「昼12時台は使い物にならない」といった厳しい意見もあり、この時間帯にスマホを快適に使いたい人には大きな問題です。
- 余ったギガが繰り越せない:使い切れなかったデータを翌月に持ち越せない点を、デメリットとして挙げる声もあります。
- サポートがネットだけ:お店がないため、困ったときは基本的にメールやチャットでの相談になります。対面でのサポートを求める人には向いていません。
- 支払いはクレジットカードのみ:口座振替やコンビニ払いができない点も、人によっては不便に感じるでしょう。
これらの口コミから分かるのは、日本通信SIMが「玄人向け」のサービスだということです。安さという大きなメリットのために、お昼の遅さというデメリットを受け入れられるかどうかが、満足度を分ける最大のポイントです。
6. 最終結論:で、結局あなたは日本通信SIMにすべき?すべきじゃない?
これまでの話をすべてまとめて、「日本通信SIMを契約するメリットがあるか?」という一番大事な質問にお答えします。
A. 日本通信SIMが超おすすめな人(メリットがある人)
- スマホ代をとにかく安くしたい合理的な人
- 普段はWi-Fiがメインで、外ではあまりネットを使わない人
- LINE電話より、普通の電話のクリアな音質を大事にする人
- スマホのことで困っても、自分でネットで調べて解決できる人
もしあなたがこれらの特徴に当てはまるなら、日本通信SIMは最高の選択肢の一つです。自信を持っておすすめします。 昼間のネットの遅さという弱点も、Wi-Fi中心の生活ならほとんど気にならないでしょう。その上で、業界トップクラスの安さと、大手キャリア並みの通話品質という大きなメリットを享受できます。
B. 日本通信SIMはやめたほうがいい人(メリットがない人)
- 仕事などで、時間帯を問わず安定したネット環境が必要な人
- 通勤中や昼休みに、動画やゲームをサクサク楽しみたい人
- スマホの操作に不安があり、お店で直接相談したい人
- 料金が多少高くても、いつでも安定した通信品質を求める人
もしあなたがこれらの特徴に当てはまるなら、日本通信SIMにメリットはありません。その理由は明確です。「お昼の時間帯にネットが遅くなるという、予測可能で深刻なデメリットが、料金の安さというメリットを上回ってしまうから」です。このような方にとっては、料金の安さに惹かれて契約すると、日々のストレスで後悔することになる可能性が高いでしょう。
日本通信SIMを選ぶかどうかは、その安さだけに目を奪われず、ご自身のスマホの使い方と、「お昼の遅さ」という弱点を許せるかどうかを、冷静に天秤にかけることが何よりも大切です。
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